ドクガクさんの弁理士の日記念ブログ企画2015のテーマは「知財業界のトリビア」ということです。今年初参加してみました。

この業界(特許業界)にいると必然的に特許庁のサイトを見ることが多くなると思うのですが、それでもどうやら特許・商標の閲覧請求して包袋閲覧がタダでできることがあることが掲載されていることはあまり知られていないように思われます。

「あっ!それって、単に審査書類情報照会でしょ。」

と言われそうですが、あにはからんや、違います(キッパリ)。

インターネット出願ソフトで600円を納付して行う閲覧請求が、タダでできるときがあります
実際に特許庁のサイトが提供しているから引用しましょう。

01-JPO


つまり、このページ番号「― 615 ―」の上に
 <ファイル閲覧において手数料を要しない期間>[特許]
 特許出願に関するファイルに記録された事項の閲覧は、特許公報発行の日から1年間無料で
す。(手数料令5 (2))

とあるではありませんか!いろいろ調べてみましたが、ほかには、"外国出願のSK特許"さんの記事があるくらいでした。

したがって、例えばJ-PlatPatの特許・実用新案テキスト検索で「種別」の「特許公報 (特公・特許(B))」だけにチェックを入れ、

02-J-PlatPat


検索項目の「登録公報発行日」に1年前以内を指定して、検索結果が1000件以内になるように他の検索項目を設定します。今日2015年7月1日だと、「登録公報発行日」に「20140701:」を指定します。
03-J-PlatPat

次に、検索が1000件以内なら「一覧表示」をクリックして検索結果を表示させます。昔のIPDLだと出願番号がすぐにはわからなかったのですが、J-PlatPatになってからは検索結果一覧に出願番号も表示されるので、出願番号をコピーしてファイル記録事項の閲覧(縦覧)請求書のHTMLファイルなどにペーストしてインターネット出願ソフトに入力すれば済みます。J-PlatPatになってからずいぶん楽になりました。

なお、http://www.pcinfo.jpo.go.jp/site/3_inet/1_operation/guide_09_01_file-etsuran.html には、1. オンライン請求時点で納付がないと、請求が却下になります。」とかなんとか書いてありますが、嘘、正確ではないです。登録公報が発行されていない出願番号を指定したり、登録公報発行後一年を経過しているときに、納付の記載がないと却下になるだけです。また、開庁日の9:00から20:00の間に閲覧請求をした案件については閲覧請求後、約1時間で随時閲覧可能となります。」とありますが、今のところは、5分くらいで閲覧可能になるように思います。

ただ、複数件の閲覧をしたい場合、いちいちコピーペーストしてファイルに書き込むのも面倒です。また、閲覧請求の問題点として、だれが閲覧請求したのか権利者が調べることができるということが挙げられ、権利者が製品調査に乗り出して特許侵害が見つかったりして酷い目にあうかもしれません。

ただ、どうせタダで閲覧請求できるならば、1件だけの特許の閲覧請求にとどめるのではなく、その権利者の他の技術分野の特許の閲覧請求をして権利者の注意をかく乱することも可能やもしれません。また、次に示すように EXCEL などを使って大量に閲覧請求書を作成して請求すれば、権利者側の誰が閲覧請求をしたのか調べる気力を殺ぐことができやもしれません

で、楽に閲覧請求書を作成して請求する方法です。次のように検索結果一覧の表示を EXCEL にペーストした状態から、ファイル記録事項の閲覧(縦覧)請求書のHTMLファイルを生成する VBA のプログラムを書いてみました。よかったらご使用ください。EXCEL VBA のはじめ方については、前の記事を参照してください。

Sub Gen_Req()
Const name As String = "特許太郎"
Const jpoid As String = "000000000"



Dim r As Integer
Dim target As String
Dim fileCounter As Integer
target = CurDir
fileCounter = 0
r = 1
Do While Val(Cells(r, 1).Value) <= 0
r = r + 1
Loop
Do While Val(Cells(r, 1).Value) > 0
Dim filename As String
Dim fd As Integer
filename = Format(Cells(r, 1).Value, "00000") & "_" & Cells(r, 6).Value & "_" & Left(Cells(r, 3), 16)
fd = FreeFile
Open ActiveWorkbook.Path & "\" & "\" & filename & ".htm" For Output As #fd
Print #fd, "<HTML><BODY>"
Print #fd, "【書類名】ファイル記録事項の閲覧(縦覧)請求書"
Print #fd, "【あて先】特許庁長官殿"
Print #fd, "【事件の表示】"
Print #fd, "【出願番号】" & Cells(r, 6).Value
Print #fd, "【請求人】"
Print #fd, "【識別番号】" & jpoid
Print #fd, "【氏名又は名称】" & name
Print #fd, "</BODY></HTML>"
Close #fd
fileCounter = fileCounter + 1
r = r + 1
Loop
MsgBox fileCounter & "個作りました"
End Sub



「Const name As String = "特許太郎"」の「特許太郎」と「Const jpoid As String = "000000000"」の「000000000」は、ご自分の氏名と識別番号に置き換えてください。

使うときは、こんな感じで EXCEL のウィンドウにペーストします。

04-excel

そして、「表示」タブをクリックして「マクロの実行」をクリックして Gen_Req を実行してください。

「で~も~、100とか200とかたくさんファイル記録事項の閲覧(縦覧)請求書のHTMLファイルができちゃった暁には、インターネット出願ソフトの文書入力をいちいちクリックするのが面倒じゃない?」という声があがりそうですが、大丈夫です!HTMLファイルをたくさん選んでドラッグアンドドロップできますから


なお、大量の閲覧書類の受取はかなり時間がかかります。こんな感じです。

05-receiving

目安としては、1日で700件~1000件くらいでしょうか。でも、その間、インターネット出願ソフトが勝手に動いていてくれて、別のことをしていればいいので、楽ちんです(閲覧書類の受取をしなくても、閲覧請求したという事実は(却下になった場合を除く)、審査経に緯記録されるようです。)。

なお、http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/syutugan_tetuzuki/06_01.pdf は、すくなくともこのブログの記事を書いているときには、次のようにして特許庁のホームページからたどることができます。特許庁のホームページから“制度・手続”をクリックし、
“特許”をクリックします。すると、「制度」、「手続」、「手数料に関する情報」、「よくある質問」が表示され、その中から「手続」をクリックします。
「出願に関する手続」をクリック、「出願の手続について」をクリック、「出願の手続」をクリックし、第六章 出願の補助的手続の第一節「出願書類等の閲覧及び交付(PDF:1,348KB)」をクリックします。

 また、商標についても、以下のようにタダで閲覧請求ができます。

06-JPO

ただし、商標について登録公報が発行された商標登録出願の番号は特許ほど簡単に得られないようです。したがって、商標には上記の EXCEL VBA は商標には使えないのでした。

以上、2015年の弁理士の日の記念として、閲覧請求がタダでできることとそれに関連する話題についてのトリビアをご紹介しました。多くの人が、特許の閲覧請求をされ特許実務に精通されるなどして特許実務能力が向上し、また、特許庁への手続きをされる方々ならびに特許庁の方々にある種の緊張感がもたらされ的確な応答、審査の充実、審査品質向上につながれば幸いです。







なお、IPFbizさんのブログに、「特許のスコアリング・指標 ~特許の質評価・分析~」と題する記事があり、
独自のスコアとして、他社の注目度として、被引用数、閲覧請求数、情報提供数、無効審判・異議申立
のように閲覧請求数が特許の注目度として挙げられています。しかし、閲覧請求がタダでできる期間の特許公報発行から1年以内の閲覧請求は無視するか、スコアを他の時期のものよりも小さくするのがよいのではないかと思います。 新規性喪失の例外規定使って出願してみれば特許になるかな?

以上