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2015年08月

特許法17条の2第1項4号には、手続補正書を審判請求書と「同時」に提出しなければいけないことが規定されています。

この「同時」というのが曲者で、厳密に2つの書類が同時に提出されるというのはアインシュタインの相対論的には不可能ではないかと思うのですが、書面提出の場合は、審判請求書と手続補正書との両方を特許庁の窓口で一度に担当の人に渡したり、同じ封筒に入れて特許庁に送付したりすれば同時となるようです。
また、インターネット出願ソフトで審判を請求するときは、審判請求書と手続補正書との両方を選択して提出すれば、同時にしたとされる扱いになっています。

ところが、インターネット出願ソフトの場合、インターネットの通信のエラーが発生して審判請求書は特許庁に送信できたものの、手続補正書は送信されなかったりすることが発生して厄介なことになる場合が稀にはあります。このため、審判請求書と手続補正書とを同じファイルにまとめて送れればいいという要望がありましたが、
遂に、その要望が叶えられそうな審決取り消し訴訟の判決がでました。平成27年7月16日判決の平成26年行ケ第10158号です。

事案の概要は次の通りです。代理人(出願人の親戚の人であり弁理士ではないそうです)が特許庁の窓口に審判請求書を提出したのですが、審判請求書の最後に「【提出物件の目録】」欄をもうけて、そこに「【物件名】手続補正書」と記載し、手続補正書に相当する書類を添付して提出したそうです。

合議体は、独立した書類として手続補正書がなかったので審判請求時の補正はなかったものとして拒絶審決をしたのですが、裁判所は、適法な手続補正書があったとして審決が取り消されました。

なお、審判請求書には、手続補正書以外に、「A審査官に送ったファックス」、「B事務所からのイーメールのコピー 平成22年10月5日付きだした書類〔返却されたもの〕」、「封筒表紙」、「意見書」、「意見の内容」、「印鑑変更届」、「Comment」、「INSTRUCTION SHEET」も添付されていたそうです。また、手続補正書は2つ添付されていたそうですが、どちらを審判請求と同時にする手続補正に係る手続補正書として取り扱うことを困難とする事情はないと判断されました。

J-PlatPatの審査書類情報照会で問題となった出願について提出された書類を見てみると、最初の代理人からの「我々に依頼するのであるならば、応答費用費用として18万円(意見書および補正書それぞれ9万円)を先に振り込んでいただけなければ我々は対応しません。」という電子メールの写しが添付された上申書に「おそらく世界中類のない費用でしょう。」と書かれていたりします。18万円をケチったがために審決取消訴訟に至って逆に高くついてしまったように思われました。

個人的に尊敬申し上げている弁護士の高橋雄一郎先生は、社会人として東芝のご出身だそうです。これに関して、
東芝に新入社員として入社され新人芸として、バニーガールの恰好をして踊った
ことを、懐かしそうにtwitter に書いておられます。

また、高橋雄一郎先生は、
この新人芸は、上命下服の一糸乱れぬ組織を作るためなのだろう、
ということも書いていらっしゃいます。

そうするとまるで、東芝は体育会のような会社ということになりそうです。そして、体育会について、高橋雄一郎先生は、今回の不正会計事件に関連して「上司の意向に逆らえない風土なんてすべての体育会系組織にあてはまる。」と断言されています。

とすると、高橋雄一郎先生が東芝に入社された平成3年からすでに、東芝には上司の意向に逆らえない雰囲気のある会社であったということで、今回の不正会計事件もおきてしかるべきとうことが言えそうに思われました。

ちなみに、新人芸は、高橋先生がバニーガールの恰好で踊られた翌々年、平成5年を最後に終わってしまったそうです。理由は、新人芸は人権侵害だとのチクリが労働組合にあったからとのこと。
チクった人は退職されたそうで、もし、退職されなければ、今回のような不正会計はおきなかったかもしれません。

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